宇宙いっぱいの坐禅―坐禅(正身端坐)の作法 その1

 私達の生活は心の中にある「貧(むさぼり)」「瞋(いかり)」「癡(おろかさ)」の三つの煩悩によって乱れているが、その乱れを調え清々しく生きて行くことが望ましい。
 身体を調え(調身)、呼吸を調え(調息)ていれば、いつも心が安らか(調心)であり、正しく物事を判断出来る。
 坐禅そのものが真理である。真理を実行するということは具体的には坐ること・立つこと・歩くことであり、つまり臥することも入れて、あらゆる日常生活の動きが真理の展開である。
 釈尊の人格に一歩でも近づくようにと心掛けた生活は、心安らかな、静かな、暖かい慈悲に満ちたものとなり、坐禅を行ずる事によって足元が寂光浄土、唯心浄土、極楽浄土に展開する。道元禅師は「坐禅せば自然によくなるなり」と説かれている。
 今、すべての人間の思考を超越した真水(只管打坐=宇宙いっぱいの坐禅)の教を勧めるゆえんである。

入禅定時 単に上がる法

体を調え、息を調えると、自然に心が調ってくる。
どこにいても、何時でも心が安らいでいられるコツ。
真理(真の安心)を実行している姿。


[坐蒲について]
・身体にあった大きさ・厚さの坐蒲を用いる。
・坐る前後には坐蒲を立てて、横に回しながらほぐす。

[単に上がる法]
・牀縁に足や尻がつかぬように留意する。
・周囲に気を配り静かに上る。
・坐蒲の名札は正面に向ける。
・身を転ずるときは、右回り(時計回り)とする。

1.結跏(半跏)趺坐の作法


 結跏趺坐は右の足を左の腿の上におき、左の足を右の腿の上におく。
 半跏趺坐はただ左の足を右の腿におく。
 左右の膝と会陰(肛門の前)との三点で等しく重心をとって坐る。
 腰を入れ顎をひく。頭のてっぺんで天井を持ち上げる気持ちで、背筋を真っすぐに伸ばす。

2.衣帯斉整法


 裸足になり、ゆったりとした衣を着る。(上の写真を参考)
 しかし腰ひもは強目にしめる方が疲れずに坐禅が出来る。

3.法界定印の法


 結跏趺坐した左足の踵の上で、右手を下に左手を上に組み、両方の親指の先を向かい合わせ、付くか付かないかの紙一重とし、臍(へそ)に対置して水平に保つ。
 指が死んではいけない。心は左の掌(手のひら)の上に置く。「これ仏祖正伝の法なり」(『宝慶記』道元禅師)

4.正身端坐の法


 「左へそばだち、右にかたむき、前にくぐまり、後へあをぐことなかれ」
 すなわち左右に傾かず、前後にも倒れないこと。


 かならず両耳と両肩、鼻と臍(へそ)はそれぞれ垂直に相対すること。
 舌の先は歯の裏の付け根に当て息は鼻より通じること。口は閉じる。

5.開目法


 視線を約1メートル前に落とす。即ち水平にした視線を45度下げる。目は張らず細めず一点を見つめず、はっきりとしていること。

6.鼻息の法

 口を閉じて鼻で息をする。息は通ずるにまかせ、長からず短からず、喘がず音を発せず、自然体で一息ごとに心をこめる。

7.欠気一息(拳体数欠)


 口を開き人工あくびの要領で数回(4,5回)深呼吸する。即ち肩で体を吊り上げ、腰に力を入れてからぐったり下げて、複式で深く呼吸する。坐禅の深呼吸は、吐き出すことが先である。

8.左右揺身


 左右揺身は大より小に7~8回、背骨を下から上に刺激するような気持ちで身体を左右に揺らせる。またねじり曲げもして、活発な身体の働きを得る。